本アーカイブについて
目的

本アーカイブは西田幾多郎と田辺元の手書き原稿を中心に,西田哲学・田辺哲学の研究を志す人たちに,西田・田辺の一次資料を提供することを第一の目的とする.しかし,それのみではなく,研究者ではない一般の方々にも,日本の知的遺産である西田・田辺哲学の一次資料に触れて頂くことも目的としている.西田・田辺の史料に限定したアーカイブであるにも関わらず,京都派の名前をその名称に敢えて使ったのは,何時の日にかは,「京都学派」のページで述べた意味での「京都学派」にそのスコープを広げたいという願望からである.

特に2012年から京都大学文学研究科図書館が管理することになった下村寅太郎の旧所蔵資料は,田辺元の数千に上る受信書簡を含む京都学派研究のための貴重な資料群であり,近い将来,本アーカイブを通して研究用資料として提供することを考慮すべきものである.また,西田幾多郎史料の説明において指摘した,西田史料全容の把握,田辺送信書簡の所在確認,また,他の思想家たちの資料の状況確認,所有者が寄託・寄贈を希望した場合の資料の受け皿体制の構築,など,将来の日本近現代思想史研究のために今こそ行うべき活動は数多く,その活動を支えるツールとして活用されるアーカイブとなることを目指している.

協力のお願い

日本近代の知的遺産というべき,京都学派の史料を後の世代に伝えるため,本アーカイブは,活動を続ける.それには利用者や関係者のみなさんの協力が重要な鍵となる.全集に多くが集められている西田の書簡と異なり,田辺からの書簡は収集の努力が殆どなされてこなかった.しかし,今でも,田辺から務台への書簡が古書市場に現れることがあり,公開はされてないが田辺からの書簡の所在の情報がWWW上に流れることもある.これらの田辺関連の書簡,さらには,西田・田辺以外の思想家の史料の所在を確認し,後世の研究の糧として提供する努力が必要である.それは本アーカイブのみの努力では全く不十分であり,利用者の方々からの情報提供が不可欠である.今後,本アーカイブを,西田・田辺史料に限定されている現状を越えて,真の京都学派アーカイブと呼べるものに発展させるためには,多くの方々からの情報・史料の提供などの支援やアーカイブ構築への参加が不可欠であるし,それがあることを期待している.また,電子史料やアーカイブの改善すべき点などについても,広く御教示・支援などをいただければ幸いである.

歴史

本アーカイブは京都大学文学研究科情報・史料学専修の教授林晋の田辺元研究に始まる.当初は同専修のプロジェクトとして,京都大学文学研究科図書館田辺元文庫,群馬大学田辺元文庫の史料研究が行なわれた.この研究は同専修で開発している史料研究用ツールSMART-GSが使われ,そのために群馬大・京大両田辺文庫に収蔵された史料のデジタル化が行われた.

その後,林を代表者,京大文学研究科, 日本哲学史専修藤田正勝,哲学専修出口康夫を分担者として,科学研究費補助金,挑戦的萌芽 22652008,“西田哲学・田邊哲学のテキスト生成研究”が発足し,この科研費プロジェクトを中心として,研究は西田史料に拡張され,本アーカイブが設立された.この様な経緯の結果,本アーカイブが提供する画像は,京都大学文学研究科情報・史料学専修,および,科学研究費補助金プロジェクト“西田哲学・田邊哲学のテキスト生成研究”により作成されている.実際の撮影者は専門の業者と林である.西田史料の撮影は,すべて清水光芸社に依頼することができたが,田辺史料の相当の部分は,林が撮影している.これは科研費プロジェクト発足前からデジタル史料作成を始めていたためと,膨大な田辺史料の電子化を依頼するだけの資金がないためである.林による画像化は専門家による画像化の品質には程遠いものだが史料研究には十分であろう.

運営者・著作者・提供者・協力者(情報・資金・サービスの提供者について)

本アーカイブは,科学研究費プロジェクト西田哲学・田邊哲学のテキスト生成研究(研究課題番号: 22652008)、“京都学派の思想史における史料学的アプローチ(研究課題番号:26580013)”と京都大学文学研究科,情報・史料学専修により運営されている.管理者は両科研費プロジェクトの代表者で,京都大学情報・史料学専修主任の林晋である.また,当アーカイブの文章の執筆は,歴史史料や引用を除き,管理者の林により作成されており,その責任と著作権は林に属する.

京都大学文学研究科図書館の西田文庫目録,田辺文庫目録,西田文庫・田辺文庫の史料は,同図書館,および同研究科の関係専修(哲学・哲学史,日本哲学史)の許可を得て複製・公開している.群馬大学総合情報メディアセンターの田辺文庫目録,同文庫史料は,同センターの許可を得て複製・公開している.また,同史料の公開については,田辺元の著作権を保持していた田辺賞設置委員会の許可を得ている.また,MMJ社によるWEBページデザインに使用した画像は林および石原三輪子氏が作成した.

西田幾多郎史料の画像検索サービスは,JSTさきがけ,知の創生と情報社会の研究プロジェクト擬似コード変換と統計解析による文書画像からの知識抽出の応用として,同プロジェクトの寺沢憲吾氏によりはこだて未来大学文書画像検索システムを用いて提供されている.

田辺元史料閲覧用ツールのSMART-GSは,京都大学研究科情報・史料学専修が開発している.同プロジェクトは,科学研究費補助金,人文学研究を促進する協働のための情報共有基盤に関する研究(基盤研究B 22300083)倉富勇三郎日記研究―IT応用新研究支援ツールの導入による全文翻刻と注釈の作成(基盤研究A 20242017),柏森情報科学振興財団,および,三菱財団からの資金援助を頂いている.

西田史料の所蔵情況については,株式会社岩波書店より情報を提供して頂いた.

以上の関係の機関,関係の方々に深く感謝したい.

連絡先

京都大学文学研究科現代文化学専攻情報・史料学専修,教授,林晋